卒業論文を書く予定などないのだが、歴史学の研究の流れがどうなっているのかに興味があって読んだ。きっかけは、とあるコミュニティで流れた「人文系のひとは論文をインターネットからダウンロードする習慣があまりない」といった趣旨のコメントである。サイエンスよりの自分からするとにわかには信じがたかったが、実際この本にも以下のように書かれていた。
一番ダメなのは、図書館で論文をいくつもコピーして読むのが面倒だからといって、とりあえず CiNii を使って、手っ取り早くダウンロードできるものだけを選ぶこと。直接的には役に立たない論文を読まされて、遠回りすることになることもある。学会誌に掲載されている学術論文には、電子公開されていないものも多い。なんということだろうか!僕はこれまで一番ダメなアプローチで論文を探していたらしい(ちなみに CiNii とは日本の学術データベースのことで、ここではインターネット上の論文という意味合いで受け取っている)。人文系のすべてがそうだとは思わないが、良くも悪くも歴史学の「史料文化」を示す端的な例であるようと言えよう。
このあたりのこと気づくのにずいぶん時間がかかってしまったが、こういうものだと思って今後は歴史学と向き合うようにしたい。