2010 年代の記事だからということもあるだろうが、想像していたよりも遥かに時代遅れなことをやっていてびっくりしてしまった。基礎知識以前に、これがデジタルと呼べる代物なのかどうかもあやしい。内容の 9 割近くが単なる史料のデジタル化についての話で、 21 世紀にもなってまだこんなことをやっていたのか、というのが正直な感想である。
もちろん、特に歴史学については史料が一番大事だろうし、それをデータにするのは大変な労力を要することも容易に想像できる。ただデジタル・ヒューマニティーズと言うからには、デジタル化されたデータの蓄積から導き出される、新しい発見をすることにこそ意味があるのであって、研究手法が従来のままなら便利なビューア以上のものは出てこないだろう。
これを変えるには、おそらくコンピュータ・サイエンスから人文学に切り込んでいった方が早いだろう。 AlphaFold がタンパク質の構造予測の世界を一変したように、である。直接的な利益に結びつきづらい分野だからすぐにこれを起こすのは難しいかもしれないが、ぜひチャレンジしてみたいところである。