改めて読むと『不思議の国のアリス』よりも、これまでイメージしていたアリスに近いかもしれない。ちょうど並行して読み進めている『マザー・グース』にも登場するハンプティ・ダンプティ、トゥイードルダムとトゥイードルディー、ライオンとユニコーンといったキャラクターが次々と出てくるし、またより考え抜かれた構成になっているようにも思われる。
あとがきを読んではじめて知ったのだが、ルイス・キャロルは数学者としての顔を持っている。それを聞くと、ジャバウォックの詩などに見られる混成語(複数の語を組み合わせた造語)も数学的な意図を持って作られたもののように思えてくる。モーツァルトもよく数字遊びをしていたと言われる( 『天才』)が、音楽や言葉のなかにある比率や組み合わせの美しさを彼らは知っていたのだろう。
ルイス・キャロルの作品の真髄であるナンセンスな言葉遊びを十分に味わうことができたが、その背後にある理論も紐解いてゆくと、もっともっと楽しめるのだろうなと思った。