肝心の「数理モデル思考」についてはほとんど記述されてなかった。ルールデザインを知るという意味では楽しめたが、数理モデルに関心のあった自分としては物足りなかった。著者の別の本(『データ分析のための数理モデル入門』など)を読んだ方が僕にとってはよかったかもしれない。
一方、最近僕は環境やエネルギーについて考えることが増えてきたが、そのルール設計の難しさを改めて感じさせられた。最初の北アイルランドの例などはまさにそれで、再生可能なペレット燃料を暖房に使用した場合、その金額に応じて補助金が受け取れるというものだ。この補助金の額が釣り上げられた結果、燃料を燃やせば燃やすほどもうかる儲かるという状況が作り上げられてしまった。
太陽光パネル設置のために森林が伐採されるというような問題が近年指摘されているが、こういった事象もルールデザインの失敗に起因するものなのだろう。このあたり地球のシステムは非常に複雑なので設計も難しい。しかし、これをいかに想像できるかが政策の意思決定にはとても重要だ。こういった思考を巡らす訓練は常日頃からしてゆきたいと思った。