k.style

世界資源エネルギー入門

最終更新日: 2025 年 06 月 20 日

ウクライナ侵攻後ということもあり、すべてがロシアとの関係性によって記述されているのが印象的だった。特にヨーロッパと直結している天然ガスパイプラインなどは島国に住んでいるとなかなかイメージしづらいが、これが欧州各国のエネルギー政策に非常に大きな影響を与えていることがよくわかる。

一方、シェール革命によるアメリカのエネルギー自給率の向上というのも、知識としては知っていたものの、その影響力の大きさを再認識させられた。これによって 2019 年にはアメリカの石油と天然ガスの輸出が輸入を上回ることになる。このあたりの盤石性はさすがアメリカといったところで、分断が進んでいるとはいえ、エネルギーの調達環境は比較的安定している。

これらは国家の安全保障に直接影響を及ぼしうる。僕などは脱炭素という切り口でエネルギー問題を考えがちであるが、もう少し広い視野でこれを捉えると、地政学的な側面を考慮する必要があることが身にしみて感じられる。本書でも資源エネルギーを考えるうえでの基本的な観点として「国家の安全」「地球環境」「経済性」の 3 つを挙げているが、たしかにわかりやすいフレームワークだなと感じた。