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はじめてのパターン認識

最終更新日: 2024 年 09 月 04 日

シンプルに書かれた本で、とても読みやすかった。これは読者の目的にもよるだろうが、 R の実装部分について具体的なことはほとんど書かれていないので、逆に理論の方に集中できる。

特に勉強になったのは部分空間法だ。なんだか物理学でもやっているような気分になったが、少し調べてみると実際に部分空間法を開発した研究者のひとりは渡辺慧という物理学者・情報科学者で、彼はド・ブロイ、ハイゼンベルク、ボーアといった量子力学の重鎮たちとも交流があったらしい。しかもシャノンより先にエントロピーの概念を情報理論に応用していたという。さらには「学は一つなり」として、ベルクソンの流れを組んだ時間に関する著作(『』など)まで残している。全然知らなかったが、とても偉大な人物である。

本に話を戻すと、 2012 年初版だからか、パーセプトロン型学習規則については「人による解の解釈が困難という理由もあり最近はあまり使われなくなっている」と書かれていて、少し時代を感じた。最近ディープラーニング編というのも出たみたいなので、気になる方はこちらを参照してみてもよいかもしれない。