残念ながら自分は想定される読者ではなかったようで、特に学ぶことはなかった。入門というか、 AI についてなにも知らないひとが読む分にはわかりやすくてよいだろう。印象に残ったと部分を挙げるとすれば、「人間がつくったかどうか」によってアートに対する評価が変わるというくだりである。
直観のとおり、人間のつくったとされるものの方がより高い評価がつくとのことだが、実はこれも自明ではないと思っている。たとえば今の時代、四則演算でコンピュータと人間を比較しようだなんて考えるひとはいない。コンピュータの方が得意だということが一般的になれば、そんなことは誰も気にしなくなるだろう。ただし、背後に人間のストーリーがあるとどうしてもそちらに惹かれてしまうというのは、ひとの性質としてありそうだ。
人間の認識などそのくらい曖昧なものなのだし、生成 AI が世界をどう変えようが、案外みんな精神的にはなにも変わらぬ生活を送り続けているのかもしれない。