ソヴィエト連邦は国家として社会主義をどのように実装しようとしていたかに興味を持ち、この本を手にした。しかし自分のなかで内容を咀嚼できたかと言われると、かなり怪しい。一般的にソヴィエト連邦は経済成長において西側諸国に敗れたとされているわけだが、この要因を特定するのはなかなか困難である。社会主義という思想そのものに問題があったのが、計画経済という方法論がよくなかったのか、そもそもロシアの歴史にたびたび登場する地政学的なリスクがそうさせたのか。 1 冊ですべてが理解できるほど単純な話ではないのだろう。
とはいえソ連の歴史を一通りおさえることのには役立っていて、ロシア革命、スターリン体制、フルシチョフ時代、ペレストロイカなど、各時代の経済状況や国際情勢がよくわかる内容だった。特に 5 カ年計画により世界恐慌の影響をあまり受けなかったことなど、社会主義が一定の評価を得ていた時代があったというのは、現代ではほとんど忘れさられてしまっているように思われる。ソ連 70 数年の歴史の概要をたどってゆくような構成なので、気になる箇所は付属している参考文献などにもあたってみるのがよさそうだ。
個人的にもっと深めてみたいと思ったのは、第 1 次大戦後に西欧諸国からソ連のような国が誕生しなかったのはなぜか、いまなお残る他の社会主義国家との違いはなんだったのか、ウクライナを含む旧ソ連諸国はその後それぞれどのような変化を遂げたのか、というようなことである。まだまだ知りたいことがたくさんある。