実は先月、『日本、美のるつぼ』『超 国宝』『日本国宝展』をそれぞれ 3 周くらい回ったのだが、展示の入れ替わりを狙って今月も行くので、予習と復習の意味を兼ねて読んだ。美術鑑賞に関してまったくの素人である僕も、ここまで色々な国宝を観ていると作品の背景なんかがようやくわかるようになってくる。刀剣や書蹟の違いなどは未だに全然わからないが、俵屋宗達から酒井抱一までの流れだとか、仏像の表情の遷移だとか、知識がついてくると楽しみ方も変わってくる。
このあたり自分の好きなジャズの鑑賞ととてもよく似ている。好きなアーティストはもちろん、好きな曲、好きな時代を追ってゆくと自然とつながりが見えてくる。特にジャズの場合はひとりが様々なグループのセッションに参加するうえ、即興で演奏したりもするので、同じアーティストの同じ曲が全然違って聴こえる、などということがよくある。
国宝の場合は歴史上の人物との関連を探るのもおもしろい。この本で紹介されていた作品も半分くらいは実物を観たことあるかな、という感じになってきたので、残りも楽しみである。特に鑑真和上坐像は『日本国宝展』の次の展示期間で観られるということで、期待に胸を膨らませている。