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エネルギーの人類史 上

最終更新日: 2024 年 09 月 04 日

上巻では産業化以前までで終わってしまった。下巻で残りを論じきれるのか不安になるが、人類のほぼすべての活動をエネルギーに換算して説明しているので、これまでの歴史の変化の度合いを定量的に把握することができる。農業や戦争、建築といったものの規模が生産可能なエネルギーによって規定されるというのは考えてみるとあたりまえなんだけれども、ジュールという単位でこれらを比較できてしまうところがおもしろい。

最近ではブロックチェーンも LLM も消費電力に換算してその規模が語られることがある。いわば情報を得るためにエネルギーを消費している状態ということになるだろうが、これも先ほどの議論の延長線上にあるといえる。下巻の目次をみると化石燃料文明についての説明ののち、最終章に「世界の歴史の中のエネルギー」という総括がある。ここでこれまでの議論がどのようにまとめられるのか、今から楽しみである。