主要なテーマについては網羅的に扱われており、よくまとめられた本だなと思った。一方、あくまで知識をインプットするための教本というような位置づけで、脱炭素社会を実現せねばと感じさせるようななにかがあるわけではなかった。
読んでいて驚いたのが、 2019 年の電源構成において、ノルウェーやアイスランドで再生可能エネルギーの占める割合が 100% となっていたことである。ノルウェーなどは石油や天然ガスの産出国なので、なにが起きているのかと思って少し調べてみたが、どうやらこれらはほぼ輸出に回されているらしい。この利益が福祉や再生可能エネルギーの財政を支える基盤となっているのだろう。
ノルウェーで採れた天然資源も結局は世界のどこかで使われているわけで、こうした統計ひとつとってもグローバルの視点が欠かせないことがよくわかった。課題はまだまだたくさんあるが、まずは現状を知るところから、はじめてゆければと思っている。