『データマネジメントが 30 分でわかる本』で紹介されていた DMBOK の本体がこちらである。 600 頁超もあるのですべてを一気に吸収するのは難しいだろうが、コンテンツとしては非常に充実していた。本書で紹介されているフレームワークのうち、最もよく出てきたもののひとつは DMBOK 2 Wheel である。相互に連関しているためきれいに割り切れないことは理解しつつも、データガバナンスを中心とした 11 個の知識領域を意識することで、様々な方針が立てやすくなるように感じられた。
おもしろかったのは、組織の変革について丸々 1 章分を割いていたことである。ここではデータに関してほとんど触れられておらず、専らチェンジマネジメントについてが語られていた。『CHANGE 組織はなぜ変われないのか』で有名なコッターの理論が説明されていたわけだが、データマネジメントという言葉から連想される一般的なイメージを超えて、こういった領域にまで言及している姿勢には好感を持てた。結局のところ、そのような土壌のない組織においてデータマネジメントは難しいということなのだろう。
冒頭の Wheel を頭に入れつつ、必要なときに引っ張り出して読み返すというのがよい使い方であるように思う。