エピローグが収められた巻。とはいえそれ自体は数十ページで、残りは「ドストエフスキーの生涯」「解題」といった訳者の解説が載っている。あまりに深い読みなので信じるに足るものなのかどうか、よくわからない部分もあったが、それでも参考になった。
個人的にはいま色々と勉強している周辺分野が触れられていたのがおもしろかった。ルネ・ジラールの「三角関係的な欲望」(『欲望の見つけ方』を参照)がカテリーナをめぐるミーチャとイワンとのやり取りのなかに見られると訳者が指摘していたし、ちょうどいま色んな作品を読んでいるシラーの『群盗』が直接的に引用されていたりもしていた。こういった関連性が理解できるようになると、もっともっと楽しめるんだろうなと思う。
また、本作の続編として構想されていたという「第二の小説」も読者の想像力を掻き立てる(というか、訳者が盛り上がっていた)。ウィトゲンシュタインが『カラマーゾフの兄弟』を暗誦するほどに読み込んだという逸話もあるくらいだし、またどこかで 3 度目のチャレンジをしてみてもよいかなと少しだけ思った。