原文で読もうかとも思ったが、ちょうど Kindle Unlimited にあったので翻訳されたものを読んでみた。ジョン・テニエルによる挿絵がやはり強烈である。物語はほとんど忘れていたのに、チェシャキャットやマッドハッターのイラストだけは覚えていた。また並行してアニメーションの方も観たのだが、これには度肝を抜かれた。自分の知っているディズニー映画のなかでも最高傑作なのではないかと思わせるほどだ。子どものころはなんだか恐ろしいものを眺めている気持ちになったのだが、いま観るとナンセンスな世界観が言葉ばかりでなく映像で見事に表現されているように感じられた。
『Scarborough Fair』などもジャンルは異なるが、イギリスの童謡で見られる独特な言葉を持っている。詩のなかで「Tell her to make me a cambric shirt, Without no seam nor fine needlework, And then she’ll be a true love of mine.」というような実現不能な伝言が何度も繰り返されるのだ。おそらくこのあたりの源流は『マザー・グース』にあるのだろう。ナンセンスというのは『ゴドーを待ちながら』のような現代不条理文学にとっても重要なテーマであるように思われるので、もっともっと理解を深める必要があると感じた。まずは続編『鏡の国のアリス』を読む。