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構造的因果モデルの基礎

最終更新日: 2024 年 04 月 25 日

すべてをちゃんと理解できたとは言い難いけれども、因果推論における哲学のようなものを垣間見ることができたような気がする。「相関か因果か」というような話はよく聞くが、交絡因子にまで議論が及ぶことは普段ほとんどないだろう。

特にサロゲート・パラドックスは大変興味深かった。処理変数 X から反応変数 Y への因果効果を確かめる際、 Y に先立って観測される中間変数 S によって代替的に評価することを考える。これは臨床試験の期間短縮などを理由に実際に行われることのようである。ここで X と S 、 S と Y との間に相関関係が認められたとしても、もし仮に S と Y 双方に影響を与える交絡因子 Z が存在していた場合、 X が Y に効果を与えているとは必ずしも言えない。なぜなら Y に影響を与える因子として、 Z が支配的であるケースも考えられるからだ。

このような単純なモデルでさえ因果関係の特定は難しい。僕らの推論がいかに直観に基づいてなされているのかがよくわかるだろう。それが悪いことだとも思わないが、そういう世界のなかを生きているのだということを実感した。